資源探索研究
ミャンマー植物多様性の解明と資源探査
ミャンマー連邦共和国は、多様な気候に恵まれ、多くの種類の植物が生育しており、未知の植物資源が豊富にあると考えられています。しかし、イギリス領時代に植物が研究されて以来、半世紀以上調査されていない地域です。当園では、植物多様性調査と資源探査をおこない、これまでに31,000点以上(重複標本を含めず)の押し葉標本および1400点の化学分析用試料を、マンダレー行政域ポパ山公園、チン州ナマタン国立公園やシャン州などから採集しました(2020年3月現在)。ミャンマー産植物の押し葉標本の総数は、現時点で世界一の収集数とされ、共同研究機関であるミャンマー森林局に保存されるとともに当園の標本室(MBK)に保管され、ミャンマー植物多様性の解明に活用されています。
ミャンマー多様性調査・資源探査
▶Wild Flowers in Kayin State volume 1( PDF分割版)Introduction 4.8MB; Wild Flowers 16.6MB; Medicinal Plants 10.1MB
▶100 Wild Flowers in Natma Taung National Park( PDF/13.6MB)
▶牧野植物園研究報告「やまとぐさ」創刊号 「海外植物調査研究のあゆみ15年」
▶牧野植物園研究報告「やまとぐさ」創刊号 「2014年ミャンマー連邦共和国シャン州調査活動報告」
▶牧野植物園研究報告「やまとぐさ」第2号 「2015年〜2016年ミャンマー連邦共和国シャン州調査報告」
▶牧野植物園研究報告「やまとぐさ」第2号 「ミャンマーにおける暮らしと植物(1)」
▶newTaxonomic Enumeration of Natma Taung National Park Vol.2: Orchidaceae (3.2MB)
資源探索研究
県内外や海外から収集された植物は部位ごとに分析用試料として保管されており、5000サンプルに上ります。特にミャンマー連邦共和国やソロモン諸島などから収集された分析用試料は、さまざまな生物活性評価ができるようにすべてエキスライブラリーとして保管しています。現在、1900を超えるサンプルがエキスライブラリー化されています。これらは、医薬品や医薬部外品のシーズ探索を行っている企業や外部研究機関と連携して進めている開発研究に用いられています。
ミャンマー維管束植物データベース
資源植物研究センター
植物資源の開発研究およびDNA分子系統解析をおこなう施設です。
薬用植物化学実験室
収集した植物試料を乾燥し、溶媒で抽出、含有成分を分析することができる設備を備えています。通常の化学実験室にあるドラフトなどに加えて、真空乾燥機、ロータリーバキュームエバポレータ、LC-MSなど大型機器類があり、特に資源植物の成分研究に活用されています。
生物学実験室
植物のDNAを抽出し、その塩基配列を解析して、植物分類・系統の解明に役立つ機器類を設置しています。また、無菌操作ができるクリーンベンチ、植物を育てる人工気象器など、無菌播種や植物細胞を培養するための機器類を設置しています
生薬標本庫
医薬品、健康食品、化粧品などの素材となる植物の有用部位を集めて配架し、管理しています。 日本国内外や中国で使用されている漢方薬の原料となる貴重な生薬標本150点だけではなく、ミャンマー連邦共和国やソロモン諸島など諸外国で収集した試料が4,000種類以上あります。これら世界各地で収集した試料は、分析し、どのような薬理効果があるかを調べる研究に利用されています。
JICA草の根技術協力受託事業
生物多様性条約には、3つの目的1)生物多様性の保全、2)持続的な利用、3)遺伝資源の利用から生じた利益の公正な配分が掲げられています。当園では、生物多様性条約にもとづき、ミャンマーにおける植物多様性保全と資源管理のための人材育成ならびに、地域資源の持続的な活用を進めています。これらの事業は、2006年より国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業を受託し、第1期2006年9月〜2009年6月、第2期2011年1月〜2013年12月、第3期2014年1月〜2017年12月で、山間部の地域資源の探査・発掘と、山採りしていた地域資源を栽培化することで地域住民の所得を向上すること目的とした活動をおこないました。第1期の活動は報告書にまとめられています。第4期事業が2019年5月からはじまりました。