更新情報2024年05月02日
見ごろの植物を更新しました
本館と展示館を結ぶ回廊では、タカネバラが紅色の花を咲かせています。本種は本州(宮城県・山形県から中部高山)と四国の亜高山帯の一部(石鎚山、赤石山系、剣山など)に分布し、高知県では愛媛県境近くの亜高山帯でしか見られない、まさに『高嶺の花』。氷河期に分布を南に拡げたものの、温暖化とともに北へ、四国に分布していたものは高山に取り残されたと考えられています。高嶺の花が手軽に観察できるこの機会をぜひお見逃しなく。
北園と南園を結ぶ連絡道では、ガンゼキランが淡黄色の花を咲かせています。国内では静岡県や紀伊半島、伊豆諸島、四国、九州および琉球の常緑樹林内に生育します。和名はゴツゴツとした偽球茎(バルブ)を岩石に見立てたことに因ります。園芸目的の盗掘や開発などで姿を消し、環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に、高知県レッドデータブック 2022では絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。今年(2024年)は5月11日(土)から17日(金)までのいずれも11時~15時で、ガンゼキラン大群落の限定公開もございます(雨天中止)。
薬用植物区ではシロバナムシヨケギクが白い花を咲かせています。本種は地中海沿岸の原産で、ジョチュウギク(除虫菊)という別名に聞き覚えがあるかもしれません。本種は花にピレトリンという殺虫成分を多く含み、戦前には蚊取り線香の原料とされました。広島県尾道市にある因島はかつての一大産地で、現在でも観光用に植栽されたシロバナムシヨケギクの花畑が観光客を出迎えます。
日中は季節を先取りしたかのような暑さが続いています。水分補給を忘れずに散策をお楽しみください。
見ごろの植物