研究活動
開園以来、牧野植物園では県内の野生動植物の調査、収集、保全をおこなっています。 1999年のリニューアルオープンからは、総合植物園を目指して、植物学の中核を担う標本庫(ハーバリウム)を設置し、植物分類・生態学分野の研究調査活動を始めました。また、2004年には資源植物研究センターを整備し、生薬学を中心とした資源探索研究を推進しています。
植物多様性の保全
県内外の植物愛好家や植物調査ボランティアの協力のもと、失われつつあるふるさとの自然を守り、育てる活動に取り組んでいます。分類学の基礎となる標本を収集し、過去の標本の情報整理をおこなうことによって、絶滅のおそれのある野生植物について分布や生育地の状況の把握に努め、自生地での調査や生育域内・外保全としての保存、増殖をおこなっています。また、行政や地域住民の進める保全活動を科学的な視点からサポートしています。
資源探索研究
植物多様性研究による基礎資料にもとづき、植物の新たな有効利用法を見出す植物資源探索をおこなっています。国内では高知県を中心に、海外ではミャンマー連邦共和国をはじめ、ソロモン諸島などから地域における利用法などの聞き取り調査や分析サンプルを採集しています。特に、ミャンマーでの資源探査を当園の基幹研究の一つと位置づけて、2000年から天然資源環境保全省森林局と研究協定(MoU)を締結し、現在まで継続して共同研究を進めています。
薬用植物の栽培研究
高知県の植物産業振興へ向けた取り組みとして、約90%を外国産に依存している漢方薬原料である薬用植物の国内生産を視野に入れ、生薬「芍薬(シャクヤク)」や生薬「蒼朮(ソウジュツ)」などの試験栽培をおこなっています。高知県に適した薬用植物の選定や栽培方法の検討をおこなったり、県内の協力団体や協力農家に栽培を委託し、収穫物の加工方法の検討や成分分析により品質を評価しています。