植物多様性の保全

野生植物分布調査~高知県の植物を調べて・知って・守ろう!〜

野生植物分布調査

令和3(2021)年度から県内各市町村の植物を順番に調べる「野生植物分布調査」が始まりました。「野生植物分布調査」では、重点的に調査する市町村を毎年変え、最終的に34市町村それぞれの植物リストをまとめることが目標です。植物調査を地域の人々と専門職員が協働でおこない、初心者の方でも少しずつ学んでいけるよう、各地域で調査兼研修会も開催しています。 調査を通じていろいろな人とつながり、新しいことを年齢や経験に関係なく学べます。この調査で集められた標本は、100年後、さらにはその先の未来の人たちが、研究や勉強の資料として利用できるよう植物園の標本庫で大切に管理されます。

植物調査

調査のようす

月に1回程度、専門職員が各地域にでかけ、植物調査ボランティアと一緒に調査します。調査では、各市町村で未採集の種類の植物について標本を採集するほか、その植物が生えていた環境や位置情報などを記録します。調査は少人数でおこなっていますので、初心者でも植物の調査方法や観察の仕方をゆっくり学んでいただけます。 調査に参加するには、植物調査ボランティアへの登録が必要です。登録ボランティアには、登録証を発行し、腕章を貸出し、調査中の事故を補償するボランティア活動保険に加入させていただいています。

植物調査ボランティアの登録申込はこちら

調査マニュアル 調査票 調査報告書

主な調査対象の市町村
2024年度/東洋町・安田町・津野町・越知町
2023年度/北川村・大豊町・大川村・日高村・佐川町・黒潮町・大月町
2022年度/室戸市・芸西村・本山町・四万十町・四万十市・土佐清水市
2021年度/田野町・香南市・土佐町・土佐市・三原村

調査スケジュール
※天候や新型コロナ感染症拡大状況等により日程変更する場合があります。
※調査に参加するには調査ボランティアへの登録が必要です。
※調査ボランティアへの登録の際に、調査希望の市町村をお伺いします。調査希望市町村を変更したい場合、事務局までご連絡ください。

研修会

調査のようす

標本の採集の仕方や必要な情報のとり方、調査票の書き方といった調査方法を学んだり、野外で似た種類を見分けるポイントを学んだり、いろいろな研修会を開催しています。

2024年度研修会
※天候や新型コロナ感染症拡大状況等により日程変更する場合があります。
※研修会に参加するには調査ボランティアへの登録が必要です。

  • 2024年4月14日(日) ボランティアガイダンス(場所:牧野植物園内)※オンライン同時開催
  • 2024年8月24日(土) 図鑑の使い方研修(場所:牧野植物園内)
  • 2024年9月28日(土) 草原生の植物を見分ける(場所:高知市皿が峰)

植物分類学セミナー

分類学セミナーのようす

植物研究の最前線にいる研究者を招き開催しています。牧野富太郎の研究を支えたのは地域在住のパラタクソノミスト(準分類学者)。あなたもそんなパラタクソノミストを目指してみませんか?植物調査ボランティアから開催の要望が高い分類群を中心に、毎年4回程度開催しています。

2024年度植物分類学セミナー
※新型コロナ感染症拡大状況等により日程変更する場合があります。
※セミナーに参加するには調査ボランティアへの登録が必要です。

  • 2024年7月7日(日) シダ植物講座(講師:堀清鷹・当園研究員)
  • 2024年6月21日(金) ギボウシ属植物講座(講師:矢原徹一・一般社団法人九州オープンユニバーシティ)

過去のセミナーはこちら

高知県植物誌

高知県植物誌

高知県内に生育する植物を網羅的に調べて記録する「高知県植物誌」編纂事業が2000年度に始まりました。野外調査は、植物調査ボランティア約350名との協働でおこない、県内全域から108,000点を超える押し葉標本を収集しました。それら押し葉標本を同定した結果、高知県には3,170種類の維管束植物が生育することが明らかになり、2009年に高知県の植物の基本台帳ともよばれる「高知県植物誌」が出版されました。植物誌刊行以降も高知県の植物調査を継続し、新たな植物に関する知見をまとめ、ニュースレターにより情報発信をしています。

絶滅危惧種調査と保全

絶滅危惧調査と保全

2000年に高知県レッドデータブック(植物編)が発行されて20年以上が経過し、その間、植物を取り巻く環境は大きく変わってきました。生活習慣の変化や過疎化による里地里山の放棄、開発、さらに近年問題になっているニホンジカの食害は、希少野生植物の絶滅の危機の大きな要因となっています。 当園では、2017年4月から2019年9月まで希少野生植物について県内全域で調査ボランティアと協働で調査を進め、およそ4,100件の情報が集まりました。この情報によって高知県のレッドリストが10年ぶりに改訂されました。また、ニホンジカによる食害について現地調査をおこない、防鹿柵によって緊急的に保護する生育地を高知県へ提案するなど、希少野生植物を食害から守る取り組みも進めています。

レッドリスト:絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト。 レッドデータブック:絶滅のおそれのある野生生物の生態や生育状況、影響を与えている要因などを詳しく解説したもの。

高知県レッドリスト(植物編)は高知県ホームページに掲載されています。 https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030701/2020032500321.html

外来植物調査

外来植物調査

生物多様性を脅かす問題の一つに外来種が挙げられます。当園では、高知県内に生育する外来植物を把握するため、2016年7月から2019年3月まで調査を行いました。調査には、のべ2,657名の市民の方々が参加し、8,919件の外来植物の情報が収集され、県内には727種類の外来植物が生育することがわかりました。 これらの情報をまとめた報告書「高知県の外来植物2019」や普及啓発パンフレットを発行し、外来植物の分布状況の周知を図っています。また、県や市町村と連携した特定外来生物の防除活動を継続しています。

高知県外来植物調査 トピックス

▶高知県の外来植物~ふるさとの豊かな自然を守るために(PDF/11.4MB

高知県外来植物調査 報告書

▶ニュースレター(PDF/3.5MB
▶高知県の外来植物2019(PDF/1.7MB
▶高知県外来植物調査 報告書(PDF/14.9MB 分割版:表紙PDF/1.2MB 口絵PDF/5.9MB 本文PDF/7.8MB

展示

ミニ展示「クイズでまなぼう 外からやって来た植物たち」/2019年6月29日(土)~8月1日(木) [会場]オーテピア高知図書館

▶ミニ展示「クイズでまなぼう 外からやって来た植物たち」/2019年8月30日(金)~11月24日(日) [会場]展示館 企画展示室ロビー

タンポポ調査

タンポポ調査

タンポポ調査とは、タンポポを環境指標(ものさし)として、もともと日本に生育している「在来タンポポ」と外国からやってきた「外来タンポポ」の分布の割合から地域の自然度をはかる市民参加型の環境調査です。高度経済成長により環境汚染・公害が問題化した1970年代に大阪で始まり、以降5年ごとに調査がおこなわれ、2005年からは近畿地方全域でタンポポ調査が実施されました。高知県では、2010年に開始された「タンポポ調査西日本」調査から、高知県立牧野植物園が事務局となってタンポポ調査に参加し、5年ごとに活動しています。これまでの取り組みは報告書にまとめられています。

タンポポ調査・2025 高知県 

▶調査期間 2024年2月1日〜5月31日、2025年2月1日〜5月31日
▶︎お問い合わせ
 高知県事務局 担当:田邉
 Tel:088-882-2673(9:00〜17:00 標本庫直通)※土日祝除く
 Fax:088-882-8635
 メールアドレス:tanpopo_kochi@makino.or.jp ※@を半角に変更してください。

newタンポポ調査・2025 高知県 特設ページはこちら

タンポポ調査西日本・高知県報告書

2020年版

▶2015年版

▶2010年版